飢餓地帯を歩く (下村 千秋)

一また雪が降り出した。もう一尺五寸、手の指も足の指もちぎれそうだ。しかし俺は喰いものをあさりに、一人山へ登って行く。俺はいつも、男だ男だと思って、寒さを消しながら、夢中で山から山をあさって歩く。 これ…