孤島の鬼 (江戸川 乱歩)

はしがき 私はまだ三十にもならぬに、濃い髪の毛が、一本も残らず真白(まっしろ)になっている。この様(よう)な不思議な人間が外(ほか)にあろうか。嘗(かつ)て白頭宰相(はくとうさいしょう)と云(い)われ…