季節のない街 (山本 周五郎)

街へゆく電車 その「街」へゆくのに一本の市電があった。ほかにも道は幾つかあるのだが、市電は一本しか通じていないし、それはレールもなく架線もなく、また車躰(しゃたい)さえもないし、乗務員も運転手一人しか…