(文芸時評)ケア労働と個人 揺れや逸脱、緩やかさが包む 鴻巣友季子:朝日新聞

 サン=テグジュペリは第2次大戦中、米国に亡命し『星の王子さま』を書いた。同作には祖国を出ていった者の惑いが投影されている。 王子の内なる闇が、子供の私には理解できなかった。ところが最近再読すると、こ…