​Captain D’s Fragrance Fragment:名もなき渚にて​

数少ない友人の中に一人の調香師がいる。 ​蔵前の古いビルにアトリエを構えるその女性は、花々の芳香を愛でるようなロマンチストではない。彼女は、人の脳裏に焼き付いた感情を化学式へと分解し、再構築する「記憶の外科医」に近い。 ​私たちが初めて出会ったのは、かれこれ数年前になる。言葉ですら表現しきれない「ある…