小説「渚の処方箋」1話④

第四回:志乃の処方箋 ​志乃が手に取ったのは、ガラス製の細い攪拌棒だった。書き換えられ、黒いインクで汚れた処方箋。その処方箋を見つめながら、既に彼女の感覚は完全に指先へと転移していた。 ​動きには一切の淀みがない。ライブラリーの中から、重厚な遮光瓶を一本手に取ると、デジタルスケールの上に置かれた空のビ…