小説「渚の処方箋」2話④

第四回:爪の中の窯元 ​アトリエのクリーンな空気の中で、その黒く染まった紙片だけが、異物のように生々しく存在していた。 ​Keikoは震える指先で、志乃の手からムエットを受け取った。その短い爪の隙間を、彼女はまだ無意識に、肉に食い込むほど強く擦り合わせている。 ​「さあ」 ​背後から、Dの低く落ち着いた声が届い…