小説「渚の処方箋」2話⑤

​第五回:その泥を吸い上げて、気高く咲き誇れ ​ 「『泥の徳』……。最高の嫌がらせね、志乃さん」 ​Keikoは、志乃から渡されたガラスの小瓶を、愛おしそうに指先で包み込んだ。 もう、その指は震えていなかった。 都会的な無菌室の香りは、彼女自身の手によって完全に破壊された。今、彼女の指先から立ち上っているのは、ジ…