夏目漱石が遺した未完の《明暗》- 虚栄心と「勝つか負けるか」のコミュニケーション、我執に乗っ取られる自己|日本の近代文学

武器になる言葉。盾になる態度。それら、日頃から己を守っている武装を不意に解いて他人と直接向かい合う時、私達はどんな形であれ、必ず、何かしらの傷を受けることになる。どう足掻いても避けられない。人間の世界では、少しでも弱みや綻びを見せた瞬間に侮られたり、立場が下だと認識されたり、あるいは取るに足らない…