小川糸 著『食堂かたつむり』より。新鮮な心で、厨房に立っていたい。新鮮な心で、教壇に立っていたい。

薪割り作業を終えた熊さんと一緒にお昼の釜揚げうどんを食べた後、私はさっき摘んできた山ブドウを丁寧に洗って煮つめ、バルサミコ酢の仕込みにかかった。 完成するのは、十二年後。どんな味に生まれ変わるのか、目を閉じて想像してみる。 もしかしたら途中で失敗してしまうかもしれない。けれど、十二年後も、こうして私…