きくち 著『群青のハイウェイをゆけ』より。日常の中に旅を位置づける。

グラスが空になった。「僕たち、いつまでこんなことできるんでしょうね」と加藤が言った。 僕は「別に一泊二日で出かけるくらい、いつでもできるでしょ」と答えた。心の中では、同じように、うっすらと喪失感のようなものを感じていた。30代になると、油断をすると、すぐ失われるものへの感傷が忍び込んでくるのだ。重く…