横道誠 編『自閉スペクトラム症の私は、いかにこの世界を生きているか』より。雨垂れ石を穿つ。

飲酒に関してもカントは独自の見識を持ちあわせていた。彼は『実用的見地における人間学』で「飲酒は人を多弁にする。しかし飲酒は心を開かせもするし、ある道徳的特性、つまり開けっぴろげさの物質的運搬手段なのだ。自分の思想を奥まったままにすることは、純粋な心にとっては息苦しい」(七巻、一七一頁)と、酒の社交…