呉明益 著『自転車泥棒』より。奪われたのは自転車ではなく、主権だった。

日本軍は海南島や台湾で訓練した工兵部隊が異常な速度で道路と橋を修復し、狙撃兵は、マレー人に化けて密林や村に浸透し、あちこちで英印兵たちを恐怖に陥れた。そして、さらに彼らを悩ませたのが銀輪部隊であった。自転車の兵隊は山間部へ入りこみ、川の上流で渡河、側面よりジャングルを抜けて急襲をかけ、退却する英印…