猪瀬直樹 著『マガジン青春譜 川端康成と大宅壮一』より。青春時代のトラウマを抱え続け、再解釈して磨き続ける。

川端は孤児という劣等感に苛まれている。劣等感だけでなく、孤児ゆえに他者との距離感がわからない。父親や母親、兄弟や姉妹というものがわからないから、友人との心を許した交わり方も心得ない。自然の生態系から拒絶されている。孤独である。だがもはや孤立していない。(猪瀬直樹『マガジン青春譜』文藝春秋、2004) お…