朱野帰子 著『わたし、定時で帰ります。2』より。余裕がないと、子どものSOSを聞き逃す。

「あれ以来、僕は自分を信じていない。心の弱い人間だ。いつかまた同じことをやるんじゃないかと怖いんだ。だから、ちょうどあの頃、面接にやって来て、まだ働いたこともないくせに、定時で帰る会社を作りたい、と言ってのけた君を雇ったんだ」 そう話す灰原の顔には重圧に耐える苦しさが浮かんでいる。「君のような面倒な…