小林紀晴 著『ASIAN JAPANESE 3』より。「ワレ到着セズ」と「ワレ到着セリ」のあいだで。

旅は終わり、人は必ずどこかへ帰る。 帰る場所とはいったいどこだろうか。そのことについて彼と何度か話した。彼は以前言った。「生まれ育った福岡にずっと住んでいて一歩も出ることがなかったら、福岡を自分の故郷と思えないような気がする」 そして同じことを彼に問われた。僕は彼とは逆に、もし諏訪にずっと住んでいて…