小田実 著『何でも見てやろう』より。「何でも見てやろう」主義は、教養主義の勧めであり、多比の勧めでもある。

出かけるにあたって、私は一つの誓をたてた。それは「何でも見てやろう」というのである。これは、行くからには何でも見ないとソンや、といういかにも大阪人らしい根性からでもあるが、もともと、私は何でも見ることが好きな男であったのである。それは私のタチでもあり主義でもあった。東京でも大阪でも、その他どこでも…