海を見に行く 九十九里へソロツーリング

育った街は海の近くだった。 自信を持って「海」と言えるほど、大層な代物ではなかったけど。 埋め立て地に囲まれた、工業地帯の湾の奥。 油の浮いた水面は大して波も立たないし、どこからでも「向こう岸」が見えた。 ここに注ぐ川はヘドロまみれで、夏になるとガスがポコポコ湧き上がって気分が悪くなるほどの悪臭を放つ…