北方行って奇譚 -1-

バス停には誰もいなかったが、自分が着いてすぐに1人、続いてまた1人と列ができていった。平日の朝、この時間に家を出る人の多くは会社に向かっている。スーツケースに大きなリュックを背負った自分がバスの窓に映ったときは、少し可笑しかった。 最寄駅に着いて、東京へ向かう。朝が早いとはいえ、ほぼ満員電車。スーツケ…