「小石のように」 これから生まれてくる君への手紙 (創作短編小説)

この冬、君の父はしつこい風邪に悩まされた。 年が明けてから十日ほど喉の痛みが続き、体の節々もだるくて仕方なかった。ようやくそれが治りかけると今度は熱がひどくなった。咳が止まらず、深夜に咳き込んでは目が覚めてしまうことがしばしばあった。初めて風邪で医者にかかった。三十代の終わりにさしかかり、君の父の体…