後世に残るクラシック——宮本浩次『ROMANCE』レビュー

原初的な音楽体験に限りなく近い感動——。 近代以降、特に20世紀初頭の音楽というのは、一回性のものであった。民衆は会場に集まり、同じ空間を共有しながら、その時限りの音に耳を傾ける。それがたとえ、以前に演奏された楽曲と同じであっても、無論、演奏に関わる人間が同じであっても、その時と全く持って同じように演奏…