父と山に登った日のこと――鳥海山をゆく 前編

「あ、今日は見えてる」トンネルを抜け、橋に差し掛かると、運転席側の車窓には秋田市街を一望できる景色が広がっていた。ほとんどが背の低い住宅地であって、秋田駅前の栄えているところだけ一極的にビルが立ち並んでいる。銀色に反射している円形の建物は市立体育館だろうか。海沿いには、真っ白な風力発電機が等間隔に…