メロンソーダの味は苦い【前編】

二十年近く昔のことになって恐縮なのだが、誰も彼もがそうであったように、僕もその頃はもれなく子供だった。 精神的にと問われたならば、胸を張って首肯できないにせよ、肉体的には小学5年生のそれだったと思う。 11月の初旬だったと記憶している過去の午後六時頃、僕はショルダーバックを背負って玄関を出た。 マンショ…