旅立ちのワイン 坂井修一 - 日本経済新聞

一人息子が就職するとき、人並みにお祝いをした。8年前のことだ。妻が料理を作り、私はワインを用意した。フレッシュマンへの餞(はなむけ)だから、新世界のワインを、と考えた。それも私たちの住んだことのあるアメリカではなく、英連邦のオーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなどでもなく、文化の異なる未知の…