春秋 - 日本経済新聞

小林秀雄は入試に出すな。丸谷才一さんが、かつて国語論「桜もさよならも日本語」のなかで訴えていた。いわく「彼の文章は飛躍が多く、語の指し示す概念は曖昧で、論理の進行はしばしば乱れがちである。それは入試問題の出典となるには最も不適当なものだらう」。▼文芸批評の神様も形無しだが、丸谷さんはその仕事自体を否…