INTRODUCTION

「兎、波を走る」は、知られざるコトワザである。ほとんど誰にも知られていない。誰も知らないコトワザを諺と呼んでいいのか?という不条理は、おいといて、私がこの芝居を書こうと決めた時、この題名がそれこそ向こうから走ってやってきた。そして私は走るように書き始めた。だが書き進むうちいにいたたまれない気持ちに…