『とかげ』 吉本ばなな | 新潮社

私の衝動的なプロポーズに対して、長い沈黙の後とかげはこう言った。「秘密があるの」――。幼い頃遭遇したある事件がもとで、長い間目の見えなかったことのあるとかげ。そのとかげにどうしようもなく惹かれてゆく私。心に刻まれた痛みを