奇妙で不穏、でも愛おしい気持ちになる。小川洋子『原稿零枚日記』

小川洋子さんの『原稿零枚日記』を読む。エッセイや日記ではなく、日記調で書かれた小説。書き手は女性作家で、特技は他人の作品のあらすじをまとめること。その技術は天才的なのに自身の原稿はいっこうに進む気配がなく、日記の文末に書き記している原稿の進み具合のメモはだいたいいつも(原稿零枚)。来る日も来る日も…