『わたしたちが光の速さで進めないなら』キム・チョヨプ

SF短編集。どの作品も、やさしさや静けさの余韻があたたかく残るものだった。 表題作の、もの悲しく美しい映像が浮かぶような舞台が好き。宇宙の片隅で見捨てられたステーション、4人掛けのベンチが並ぶ誰も来ない待合室、大きなガラス張りの窓の外は星空。そこに居座る老女は、時代が変わり環境が変わっても自分の信じる…