勇者の影で生まれた英雄 #55 ちぎれた鎖

翌日、何の先触れもないままにゼクソン国王は採掘場にやってきた。 それなりに豪奢な馬車を囲む騎馬がわずかに十騎。一国の王としては身軽な移動だろう。それを確認しながらも、グレンはいつまでも視線をそれに向けることなく、自分の仕事に取り掛かった。 グレンの今日の仕事は砕いた鉄鉱石を炉場まで運ぶ役目だ。比較的…