四季は大地を駆け巡る #132 二つの動き

夜の陣地は静寂に包まれている。傭兵王は、まるで広い陣地にたった一人でいるような気分だった。そんなはずはない。陣地には四千を超える騎士や兵士がいる。今この瞬間にも減っているかもしれないが。 自軍はずっと負け続けている。一騎打ちで負け、五十人という部隊同士での戦いでも負け、さらに少数の最精鋭だけにしても…