黒き狼たちの戦記 第56話 真実なんて簡単に辿りけるものじゃない

幼い頃から周囲は常に温もりを感じさせてくれる雰囲気だった。誰もが自分に笑みを向け、何か行えば褒めてくれた。そうであることが当たり前だった。 世の中に悪意というものが存在するのを知ったのは八歳の時。父に剣を教えてもらえることが決まったあとだった。 剣の稽古初日。その場には一つ年上の兄がいた。兄がいるこ…