月の文庫ブログ
id:ayato_tsukino
黒と白の動乱記 第1話 終わりと始まりの時
四方を山に囲われた盆地にその里はある。今は「あった」と過去形を使うべきかもしれない。里の建物は、そのほとんどが燃え尽き、あちこちから白い煙があがっている。地面に転がるいくつもの死体。多くが子供で、手を、足を切り取られ、無残な姿を晒している。里は滅びたのだ。何者かの襲撃によって。 「や、止めろ……離せ」…