切なく、冷たく 〜「雪国」川端康成

50歳を過ぎて「雪国」(川端康成、新潮文庫)を再読したとき、男と女を描いてこれほどまでに艶(なまめか)しい小説だったのかと、唖然としました。つんと底冷えする雪国だからよけい、一途に織り上げられていく「女」が切ないのですね。 逗留する越後湯沢の温泉宿で、島村と駒子が一夜をともにした翌朝、駒子は人目を恐れ…