家も愛も捨てて滅びへ 〜「幕末遊撃隊」池波正太郎

幕末という激動期。自らの信念を貫こうと時代のうねりに逆えば、人間一人など跡形もなく滅びて消えてしまう。そうして歴史の闇に消え去った人は、少なくなかったはずです。 「幕末遊撃隊」(池波正太郎、新潮文庫)は、若い剣士の生き様と死までを、一条の閃光のように描いた小説です。鮮やかであるほど、歴史という怪物の…