宮田和成は親友の形見

「もう帰っちゃうの?」 甘える腕をふりほどき、わたしは彼の家を出た。 三軒茶屋の駅近マンション。とはいえ電車はとっくに終わってるから、もうタクシーに乗るしかない。あと数時間待てば始発が出るけど、ことを済ませた男の部屋で、時間を浪費する術をわたしは知らない。知りたくもない。 男は恋人ではないが、1年前ま…