十牛図に秘められた悟りの諸相 【廓庵師遠版】(前篇)

十牛図とは、禅の極意、つまりは「悟り」というものを感覚として摑むことができるよう、牛を題材にした十枚の絵によって悟りへのプロセスを描き表わした絵画であり、教本であり、芸術である。 この十牛図の面白さは、何と言っても「悟り」といった漠然とした不可思議な事柄を説明するのに、文字ではなく絵図を用いた点に尽…