世にも奇怪な物語「クチクサおじさん」  

あれは木枯らしが吹き始めた去年の暮のころであった。気温が下がってきて,冷たい風が口の中を駆け巡ると,私の知覚過敏は耐え難い痛みと冬の到来を告げた。知覚過敏と言えば冷たい水や食べ物を食べたときにキーンとしみる症状のことだが,私の症状は悪化の一途を辿り,ついに外気の冷たい風にまで反応するようになってし…