阿呆列車にわくわく

直木賞作家にもミステリにも暗い私だが、髙村薫の小説は以前から愛読している。 初期の『黄金を抱いて飛べ』とか『神の火』とかいった作品は、銀行地下から6トンの金塊を盗み出すとか、原発に侵入して原子炉の蓋を開けるとかいった、「ひとつ、デッカイことやったるわい」という俗事から外れた男の誇大妄想じみたストーリ…