変身譚として読む『砂の女』(大学のレポートで提出したもの)

1 はじめに 安部公房は一九二四年、東京に生まれ、十六歳まで満洲の奉天で過ごす。一九四三年に東京帝国大学医学部に入学する。一九四八年に大学を卒業するも、医師にはならずに、創作活動に勤しむ。一九五一年に『壁――S・カルマ氏の犯罪』で芥川賞を受賞し、六二年に発表した本研究作品である『砂の女』は読売文学賞を…